【鈴木雄介】東京オリンピック金メダルを~競歩が熱い~

競歩界において「世界一美しい」歩型と称されながらも、怪我により約3年近く公式試合から遠ざかっていた【鈴木雄介】選手

2019年9月29日 世界陸上(ドーハ)男子50㎞競歩で金メダルを獲得。これにより東京オリンピック日本代表に内定しました。

 過酷なレースを象徴

 気温31℃、湿度74%の厳しい条件でスタートした。出場した46人のうち28人しかゴールできず、「完歩率」わずか約6割にしか届かなかった。4人が失格し、途中棄権した14人の中には前回王者や、リオ五輪覇者が含まれている。

 

経験を活かした戦略

万全な暑さ対策として、給水所ごとに3種類の冷却グッズを入れた巾着袋を用意。絶えず手のひらを冷やし、首に保冷剤を当て、帽子には氷を入れるなどをした。

30㎞手前でトイレに行く、給水所で立ち止まって水分補給するなど、後続との間にできたタイム差を冷静に判断し「戦略的に勇気を持って休む」を実行した結果。39秒差で逃げ切り優勝した。 

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鈴木 雄介(すずき ゆうすけ)

生年月日:1988年1月2日
出身:石川県能美市
出身校:石川県立小松高等学校順天堂大学
所属:富士通

主な戦歴

2012年 ロンドンオリンピック日本代表(結果36位)

2013年2月 日本選手権20km競歩、1時間19分02秒を記録して優勝を飾る。日本記録を13年ぶりに更新

2014年 仁川アジア競技大会20㎞競歩、1時間20分台の記録で銀メダルを獲得。

 

2015年3月15日 全日本競歩美大会20㎞競歩、1時間16分36秒の世界新記録を樹立して優勝した。陸上競技における日本男子選手50年ぶりの世界新記録であった。

2015年8月 世界陸上北京大会は、途中棄権に終わった。 

2016年 リオ五輪の最終代表選考会を欠場し、日本代表選出は消滅した。

それ以降も、2年9ヶ月にわたって公式試合への出場がなかった。

2018年5月に試合へ復帰

 

2019年4月 距離を50㎞に変えて挑んだ日本選手権にて、3時間39分7秒日本記録で優勝して世界陸上ドーハ大会の日本代表に選出された。

2019年9月 世界陸上ドーハ大会男子50km競歩、4時間04分20秒で優勝した。オリンピック・世界選手権を通して日本競歩史上初となる金メダルを獲得すると同時に、2020年東京オリンピック競歩日本代表選手に内定した。

 

オリンピックイメージ画像

 

世界陸上で金メダルを獲得するまで 

鈴木選手の道のりは紆余曲折、過酷すぎる競技との闘いでした。 

 

情熱大陸」出演

2015年に世界新記録を樹立したことにより注目され、鈴木選手は『情熱大陸』(MBS/TBS系全国ネット)に出演した。

2015年の時点で、本人が五輪種目の陸上競技で世界記録保持者となるのは、女子マラソン高橋尚子以来14年ぶりとなる快挙だった。

“世界一速く歩く男”と称されメディアの取材も増えた。しかし「世界記録は意味が無い。世界大会で金メダルを獲って初めて世界一」と鈴木選手は語っていた。

 

 世界陸上北京大会

そんな中で迎えた、2016年「世界陸上北京大会世界新記録を出した後の世界陸上ということで、金メダルの期待を背負っての出場だったのですが 「恥骨炎」の影響から11㎞付近でリタイアの結果でした。

「最初から痛みがあり、7~8キロで痛みが強くなって我慢したけど、完歩するより今後のことを考えて棄権した」

 

ここからが、怪我により2年9ヶ月にもわたって公式試合へ出場できないという、鈴木選手の地獄の苦しみの始まりでした。

 

グロインペイン症候群

鈴木選手が診断された結果は、「グロインペイン症候群」ランニングや起き上がり、キック動作など腹部に力を入れた時に股関節周囲の鼠径(そけい)部に生じる痛み。1度なると治りにくいのが特徴。

 

ルールによる制限

 ロス・オブ・コンタクト
常にどちらかの足が地面に接していること
ベント・ニー

 前脚は接地の瞬間から地面と垂直になるまで膝を伸ばすこと

 

この二つの定義に違反しているおそれがあると審判員が判断した時に、イエローパドルを提示される。定義に明らかに違反している場合はレッドカードが発行される。レッドカードが累積3枚になると、主任審判員より失格を宣告される。または、主催者などが「ペナルティゾーン」を採用した場合は、所定の時間待機し、レースに復帰することができる。この場合は4枚目のレッドカードで失格となる。

 

このルールがあるが故に、スピードを出す為あのようなフォームになる。さらに体が限界を超えても、失格しないためには普通に歩くことすらできない。

 

 世界陸上で金メダル

 一時は引退も頭をよぎった時期がありながら、治療・リハビリ・トレーニングを積み重ね、見事復活金メダル獲得!!

日本勢の世界選手権金メダルは、2011年大会の男子ハンマー投げ室伏広治以来

 

 

鈴木選手は、日本陸連がその年に活躍した選手を表彰する「アスレティック・アワード」。最優秀選手賞に当たる、2019年「アスリート・オブ・ザ・イヤー」に選ばれています。元旦に行なわれました国内のレースでも男子20㎞競歩を1時間20分1秒の大会新記録で優勝しました。この勢いのまま東京オリンピックへと突き進み、金メダルを獲得してもらいたいですね。 

 

ダブル金メダル

さらに世界陸上ドーハ大会では、【西利】選手が男子20㎞競歩においても金メダルを獲得しています。これにより東京オリンピックの日本代表に内定しました。

2日前の自信に満ちたコメント通りのレース内容でした。

「金メダルをターゲットにして、そこから逆算して練習を積み上げてきた。当日は最後の手順を踏んでいけばいいと思っている」

山西 利和(やまにし としかず ) 

生年月日:1996年2月15日
出身:京都府長岡京市
所属:愛知製鋼

 

日本記録を更新した男

2019年10月27日、全日本50㎞競歩高畠大会において【川野将虎】選手が、日本記録更新となる3時間36分45秒で初優勝し、東京オリンピックの日本代表に内定した。

「予想外。自分でも驚いている」

川野 将虎(かわの まさとら)

生年月日:1998年10月23日
出身:宮崎県日向市
所属:東洋大

 

熾烈な代表枠争い

各個人の戦績・タイムを見てもらっても分かる通り国内の代表枠争いが、世界トップレベルの争いでもあるのです。そこを勝ち抜いて代表に選ばれた選手は、東京オリンピック限りなく金メダルに近い存在だと言えるでしょう。

 

 

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